お役立ちブログ
屋根カバー工法のデメリットと失敗例|後悔しないための正しい判断基準を専門家が解説
2025年12月20日(土)

屋根カバー工法は撤去費を抑えながら耐久性を高められる便利な工法ですが、下地の状態や構造を正しく見極めないまま進めると、後から取り返しのつかない問題を招くことがあります。
とくに現場で多いのが、通気がうまく取れず内部に湿気がこもるケース、素材の選び方を誤って性能が十分に発揮されないケース、そして本来カバー工法に適さない屋根に無理に施工してしまうケースです。こうした失敗は工事直後では気づきにくく、数年後に野地板の腐食や雨漏りとして表面化するため、事前の判断が何より重要になります。
そこで今回のお役立ちコラムでは、専門家として数多くの屋根点検を行ってきた立場から、屋根カバー工法のデメリットと起こりやすい失敗例を整理し、工事前に押さえるべき判断軸を明確にまとめました。
このコラムを読めば、同じ後悔を避けるために何を見て、どこを確認すればよいかが分かるはずです。
▼合わせて読みたい▼
蓮田市の屋根カバー工法 vs 塗装|築20〜30年戸建ての最適解
目次
屋根カバー工法のデメリットとは?施工前に押さえるべき“3つの前提”

屋根カバー工法は便利で汎用性の高い工法に見えますが、実際は“どんな屋根にも使えるわけではない”という前提を押さえることが大切です。築年数、既存屋根の素材、下地の含水率、地域の寒暖差など、複数の条件がそろって初めて成立します。とくに新潟・東北・北海道のように昼夜の温度差が大きい地域では、通気設計を誤ると内部結露が一気に進むため注意が必要です。
【屋根カバー工法で気をつけるべき前提】
・内部の下地腐食を“外側からの見た目だけ”で判断すると危険
・重ね張り自体に向かない屋根材・屋根状態が存在する
・通気・排湿計画が甘いと結露により内部が急速に劣化する
下地の劣化を覆い隠したまま施工し、内部腐食を進行させる
既存屋根を撤去しない構造上、内部が見えないまま施工される危険があります。表面は軽度の割れのみでも、野地板の含水率が高いままカバー工法を行うと腐朽菌が活性化し、数年で野地板が沈むケースがあります。こうした下地腐食の見落としは、経験値の浅い業者ほど発生しやすい傾向があります。
【内部腐食の典型例】
・含水率20%超の野地板にそのまま施工
・雨染みが天井裏に出ていないため見逃された漏水
・スレートの層間剥離により雨水が内部へ回り続けていた
カバー工法が適合しない屋根に無理に施工し、数年で浮きや変形が発生
ノンアスベスト初期型スレートや強度の落ちた金属屋根など、重ね張り自体が不向きな屋根があります。それにもかかわらず「どの屋根でもカバー工法で安くできる」と案内する業者も存在します。適合しない屋根では、風荷重や熱伸縮に耐えられず、早期変形や雨漏りが生じます。
【カバー工法不可になりやすい屋根】
・反りや層間剥離が進んだスレート
・錆穿孔が広範囲にある金属屋根
・既存防水シートが破れて下地が見える状態
屋根カバー工法で起きやすい“失敗例”|現場で実際に多い3つのパターン
屋根カバー工法で厄介なのは、施工直後には問題が表に出ず、年数が経ってから症状が現れる点です。通気計画の甘さや素材選びの誤りは見た目では判断しづらく、ユーザー側では気づけないまま劣化が進んでしまうことがあります。
地域特有の気候に合わない素材を選んでしまう、設計と実際の施工が一致していない、こうした“見えないズレ”が後々の不具合につながります。
【失敗例として多い傾向】
施工時点で気づけず、2〜5年後に不具合が出てくることが多い点が特徴です。地域性を軽視した素材選定や、設計通りに換気が確保されていない施工など、原因はさまざまですが、いずれも事前の見立てが不十分な場合に起こりやすくなります。
通気・排湿の設計不足で内部結露が発生し、野地板が急速に劣化
棟換気を設置しない、通気層を確保しないといった“設計不足”は、内部結露の代表的な原因です。寒暖差の大きい地域では結露量が多く、ひどい場合は施工後3〜5年で野地板がふやけて沈むこともあります。
【内部結露を引き起こす施工の特徴】
・通気層が確保されていない
・断熱材と屋根材の間が密着している
・棟換気の位置や量が不適切
素材・工法の選択ミスで遮音性・断熱性・耐久性が低下する
素材選定のミスも、屋根カバー工法で頻発する失敗です。ガルバリウム鋼板は厚みや断熱材の有無で性能が大きく変わりますが、価格を優先して薄い鋼板を選ぶと強風時にバタつき音が起きることがあります。
また、断熱材のない屋根は夏場の小屋裏温度が10℃以上上がり、室内環境にも影響を与えます。さらに、積雪地域で立平葺きを選ぶと、雪の重みで変形しやすいなど、地域条件と素材が噛み合っていないケースも少なくありません。
選択ミスは施工直後に気づかれにくいため、後になって“なぜこうなったのか”という相談につながる典型的なパターンです。
▼合わせて読みたい▼
白岡市|パミールはいつ替える?屋根カバー工法の費用相場と最適タイミングを専門家が解説
屋根カバー工法で後悔しないための“判断基準”|専門家が使う評価軸とは

屋根カバー工法の可否は、屋根の見た目だけで判断できるものではありません。専門家が現場で見ているのは、野地板の含水率や強度、屋根形状との相性、換気設計が成立するかどうかなど、外からは見えない要素ばかりです。
こうした基礎条件を正しく押さえていなければ、どれだけ高品質な屋根材を使っても十分な耐久性は得られません。
確認すべきポイントは、下地の含水率や沈み具合、既存屋根の反りや剥離の程度、棟換気を設置できる構造かどうか、雪止めや既存役物との干渉の有無など、屋根全体の“骨格”に関わる部分です。
これらの判断を適当に済ませてしまうと、後から通気不足や内部腐食が表面化し、結局は葺き替えをやり直す事態にもつながります。
判断基準①下地・野地板の“劣化度×含水率”で工法の適合を決める
下地の状態は、屋根カバー工法を検討するうえで最も重要な判断材料です。野地板の含水率が20%を超えていると腐朽菌が活発になり、カバー工法では改善できないまま劣化が進みます。
表面のスレートがきれいでも、内部では雨染みや湿気が溜まっていることも珍しくありません。疑わしい場合は、既存屋根を部分的に剥いで内部を確認する必要があります。
下地診断で確認する内容は、含水率の測定、野地板が踏み込んだ際に沈むかどうか、天井裏に雨染みが出ていないかなどの基本的な項目です。見える範囲だけで判断しようとする業者は、そもそもカバー工法のリスクを理解していない可能性が高いため注意が必要です。
判断基準②通気設計・換気部材をどこまで理解しているかで業者の質が分かれる
カバー工法の成否は、通気設計をどこまで丁寧に組み立てられるかで決まります。棟換気や軒先換気をどう配置するか、雪止めが風の流れを妨げていないか、屋根形状に対して換気経路が成立するかなど、屋根全体を“空気の通り道”として考える視点が欠かせません。
見積書の段階で、換気部材の仕様や配置理由をきちんと説明できる業者であれば、施工中の判断も的確です。
一方で、こうした説明が曖昧な場合は、素材の選択肢だけを並べている可能性があり、通気を軽視した施工につながることがあります。
さらに、不適合な屋根に対しても安さを理由にカバー工法を勧める業者は避けるべきです。屋根形状・下地状態に応じて“できる工法”と“やるべきでない工法”を明確に線引きできるかが、信頼できる業者かどうかの分かれ目です。
▼合わせて読みたい▼
ノンアスベスト屋根の点検はいつ?劣化が進む前に知るべき最適時期と注意点
FAQ|屋根カバー工法のデメリットは本当に避けられる?

屋根カバー工法に興味はあるものの、失敗例を見て不安になるという声は多いです。ここでは、相談の多い質問をまとめ、判断の手がかりになるよう整理しました。
Q1.カバー工法と葺き替えはどちらが長持ちしますか?
屋根全体の寿命は最終的に下地の状態で決まります。下地が健全で、通気計画や素材選定がきちんとできていれば、カバー工法でも十分長期にわたって持たせることが可能です。一方、野地板の腐食が進んでいる場合は、いくら良い屋根材を重ねても根本解決にはならず、葺き替えが必須になります。
築年数だけで決めず、「含水率や腐食の有無をきちんと見たうえでどちらが適切か」を一緒に検討してくれる業者かどうかが重要なポイントです。
Q2.カバー工法で雨漏りは本当に止まりますか?
雨漏りの原因箇所を正確に特定できていれば、カバー工法で雨漏りを止めることは十分可能です。ただし、原因が屋根だけではなく谷樋や取り合い、外壁まわりなど複数にまたがっている場合、屋根だけを覆っても再発することがあります。
散水試験などを含めた事前調査を丁寧に行い、「どこから、どの経路で水が入っているのか」を図面レベルで説明してくれるかどうかが、安心して任せられるかどうかの分かれ目です。
Q3.既存屋根が反っている場合でもカバー工法できますか?
既存屋根の反りが軽度であれば下地調整を行ったうえでカバー工法が可能な場合もありますが、反りが強いと新しい鋼板がその形をそのまま拾い、波打ちや浮きの原因になります。
強風時には風を受けやすくなり、ビスの緩みやバタつき音につながることもあります。現場では、実際に屋根に上がって反りの程度を確認し、「どこまでなら調整できるか」「どの範囲は葺き替えが必要か」といった線引きをきちんと説明することが大切です。
Q4.工事費が安すぎる業者は危険ですか?
すべての安価な見積もりが危険というわけではありませんが、相場より極端に安い場合は、どこかの工程や材料が削られていると考えた方が安全です。
下地調査を行わず目視だけで済ませていたり、通気層や棟換気の設置が見積書に明記されていなかったりする場合は要注意です。見積もりの段階で「なぜこの金額になるのか」「どこまで含まれているのか」を具体的に説明してもらい、他社との比較で“安さの理由”まで確認しておくことが、後悔しないための基本線になります。
屋根カバー工法で後悔しないために|リノデクションが支える確かな判断と施工品質

屋根カバー工法は、理解すべき前提さえ押さえれば非常に有効な工法です。ただ、下地の状態や通気計画、素材選びを誤ると後悔につながります。
株式会社リノデクション/プロタイムズ蓮田店では、事前診断・換気計画・素材選定まで丁寧に行うことで、施工後の安心感を高めています。初めて屋根リフォームを検討される方でも判断しやすいよう、現場写真や含水率データも提示しながら説明しています。
お問い合わせフォーム、メール、電話での相談はもちろん、ショールームでも実物サンプルをご覧いただけます。カバー工法が適しているかどうかを一緒に確認し、最適な一手をご提案します。
安さだけに左右されず、住宅寿命を見据えた工事を選ぶことが、結果的に最も賢い選択になります。
▼合わせて読みたい▼
株式会社リノデクション/プロタイムズ蓮田店/お問合せからの流れ
人気記事

自分でやる雨樋掃除は下からが正解!ホームセンターでそろう便利なグッズも紹介
こんにちは!プロタイムズ蓮田店 株式会社リノデクションのスタ...

知らないと損!悪質リフォーム会社のリストの紹介!自分で見つける方法・悪質業者の見分け方まで解説します...
プロタイムズ蓮田店(株式会社リノデクション)のスタッフブログ...

火災保険を何回も使うデメリットはある?一度使うと保険料は上がってしまう?保険金の請求で注意が必要な点...
プロタイムズ蓮田店 株式会社リノデクションのスタッフブログを...
カテゴリー
お問い合わせはお気軽に!
ご都合にあわせてお問い合わせ方法をお選びください。
[
ピックアップ
]
0120-50-1116




















