ある日突然、塗装業者の方から
「外壁にヒビなどの痛みがありますよ。塗装の必要がありますね。」
なんて指摘を受けた方は多いのではないでしょうか?
自分では「ヒビは目立たないし、見た目もまだまだ綺麗」と思っていても、いざ業者に指摘されると不安になるものです。
「築年数から考えて、今塗り替えする必要があるの?」
「自分では劣化しているとは思わないけど、本当に外壁を塗り替える必要はあるの?」
そんなお悩みをお抱えの方も多いかと思います。
そこで今回は外壁塗装の塗り替えを考える際に押さえておくべき、「外壁塗装をいつ行ったら良いのか、という目安」や「建物を長持ちさせるためのポイント」についてご紹介します。
外壁塗装の耐用年数の目安は使用する塗料によって異なる
そもそもなぜ外壁塗装は劣化するの?
建物は日頃から雨や風、紫外線などの外的要因から攻撃を受けています。
塗装はそのような外的要因から「建物を保護する」ためのいわば盾や鎧のようなもの。
しかし、塗装も建物と同じように紫外線などの外的要因により、劣化してします。
つまり、長い年月塗装表面に紫外線や雨風にさらされることで劣化し、次第に、塗装表面が薄くなり、建物の下地が見えるような状態になるのです。
そして、塗装表面が劣化し、薄くなると、外壁自体に次のような劣化の現象が起こります。
チョーキング現象
塗膜のひび割れ
表面にカビや藻が発生
耐用年数の定義とは?
それでは、外壁塗装の耐用年数とはどのような意味でしょうか?
耐用年数とは
「塗装したその日から、上のようなチョーキング、ひび割れなど、劣化症状が起きてしまうまでの期間」のことを差します。
外壁塗装の耐用年数の目安
本題の外壁塗装の耐用年数の目安についてですが、耐用年数は外壁塗装に使用する塗料の種類によって大きく異なります。
そこで、外壁塗装で使われる主な塗料の耐用年数と特徴を簡単にご説明します。
このように塗料ごとに耐用年数の目安や機能は全く異なります。
また、一般的に耐用年数が高かったり、機能性に優れた塗料になればなるほど、価格も高価になる傾向にあります。
そのため、外壁の状態やご予算などの希望に合った塗料を選択することをおすすめします。
塗料と外壁塗装にかかる金額について詳しく知りたい方は下記の記事をご覧下さい。
外壁塗装の耐用年数はあくまで「目安」である
さて、ここまで塗料別の耐用年数の目安をお伝えしました。ここからは耐用年数について注意しておきたいポイントをお伝えします。
塗料メーカーは各塗料においてその塗料の耐用年数の目安をパンフレットなどに記載しています。
この耐用年数について覚えておきたいのが、「耐用年数はあくまで『目安』として考える」こと。
その理由をご説明いたします。
外壁塗装の耐久年数は、壁の材質、日光の当たり具合、周りの環境などに左右されるので、全く同じ状況の家はありません。そのため、耐用年数の正確なデータは非常に取りにくいのが現状です。
そこで、ほとんどの塗料メーカーでは「促進耐候性試験機」と呼ばれる、試験機を用いて、塗料の耐久性・耐用年数を検証します。促進耐候性試験とは、擬似的に太陽と雨に晒された状態を作り出し、劣化具合を確かめる機材のこと。
つまり、塗料メーカーの打ち出している耐用年数は試験機の環境下で計測した値です。実際の建物に塗られて、検証された年数ではない、という点がポイントです。そのため、実際に外壁に塗られた場合には、記載されている耐用年数よりも早く劣化してしまう可能性があることから、あくまで目安として考える必要があるのです。
例えば交通量の多い場所に建設された建物があるとします。交通量が多いことで排気ガスの影響を強く受け、汚れが非常に目立ってしまいます。またその道路が大型トラックの通るような大通りの場合、建物自体が振動するため、振動に伴い塗装にひびが入ることも考えられます。そしてそのひびから水が浸入し、雨漏れの発生に繋がる、なんてこともあるのです。
さらに日当たりも大きく影響します。例えば西日がよく当たる建物の場合、紫外線の影響が一際強いため、その分、劣化の進行も早くなります。逆に太陽の当たらない、ジメジメした湿気の強い建物の場合、塗装面にカビやコケが発生してしまい、汚れが目立つだけでなく、建物自体の腐食にも影響を与えてしまいます。
このように同じ塗料を使用した場合でも、立地条件や方角によって劣化の進行が早くなることもあり、一概に塗料メーカーのパンフレットに記載されている耐用年数が発揮されるとは言い切ることはできません。あくまで外壁塗装の耐用年数は目安である。ということを覚えておきましょう。
耐用年数だけじゃない。建物を長持ちさせる外壁塗装のポイント
さて、ここまで外壁塗装に使用される塗料の耐用年数についてお伝えしました。それでは、外壁塗装を行う上で気にするべきことは耐用年数だけで良いのでしょうか。
答えはNO!
建物を長持ちするためには、他にも気にするべき塗料選びのポイントがあります。そのようなポイントをお伝えします。
「防水性」を持つ塗料で雨水の浸入を防ぐ
「防水性」と聞いて具体的なイメージを持てる方は少ないかと思います。防水性とは、建物にひび割れが入ったとしても、そのひびに追従する伸縮性を持つ、ということです。この防水性を有することにより、建物のひび割れの顕在化を防ぐだけでなく、ひび割れからの雨水の浸入をシャットアウトし、雨漏れやそれに伴う、建物内部の腐食を防ぐことができ、建物をより長持ちさせることができるのです。
ひび割れに追従している様子
「防水性」を持つ代表的な塗料
■EC-5000PCM・EC-5000PCM-IR(アステックペイント・ジャパン)
特徴:
- 耐久性と柔軟性を持つピュアアクリル樹脂を使用。塗膜の伸縮率が約600%を誇り、優れた防水性を発揮する。
- 防水性の他にも高耐久性や経済性、遮熱性(EC-5000PCM-IRのみ)など多くの優れた機能を有しており、トータルでのメリットが大きい塗料。
注意点:
- 取扱いを許可された塗装店やリフォーム会社しか取扱うことができず、一般のホームセンターや小売店などでは販売していない。そのため自分での塗り替えを行うことができない。
「防カビ性」を持つ代表的な塗料
■パーフェクトトップ(日本ペイント)
特徴:
- 優れた防藻性、防カビ性を持つ。
- その他、紫外線に強い耐候性を持つ塗料で、今までのウレタン塗料やシリコン塗料よりも耐候性に優れているという特徴を持つ。
■ナノコンポジットW(水谷ペイント)
特徴:
- ナノテクノロジーにより、優れた超低汚染性を誇る塗料。
- さらに防カビ性・防藻性に優れることから、建物の美観を長期間保持することが可能。
自分でできる!塗料以外で建物を長持ちさせる外壁塗装のケア方法
さて、ここまで外壁の塗り替えを行う上で、建物を長持ちさせる塗料選びのポイントをお伝えしましたが、実は建物を長持ちさせるのは塗料だけではありません。外壁塗装の劣化の進行を抑えるために、日ごろから自分でもできる簡単なケア方法がありますので、その方法をご紹介します。
外壁の周囲のケア
建物の北面などの日が当たりにくい壁、植え込みの近くの壁は、湿気がこもりやすくじめじめとしていてカビや藻が生えやすいところです。外壁の近くの植え込みをこまめに刈り込む、物を置かないようにして、風通しをよくしておくことがポイントです。
カビ、藻のケア
カビは放置すると次第に外壁全体に広がってしまいます。
カビ・藻を見つけたらすぐに落とすようにしましょう。方法としては、 ホースで水をかけながら軟らかいスポンジでこする等、軽く水洗いするのをおすすめします。 落ちない場合は、カビ取り剤や壁専用の洗浄剤を使用してください。
小さなことではありますが、外壁の取り扱いにこまめに気を遣うことで、外壁への負担を大きく減らし、劣化のスピードを遅くすることができます。
ぜひ実践してみてください!
まとめ
今回のおさらいをします。
□塗装に使用される塗料の種類によって、耐用年数は異なる。
□塗料メーカーが打ち出している耐用年数は、実際の自然環境の中でのデータではない。実際には立地条件や気象条件により、記載されている年数を前後する可能性があるため、あくまで目安として考えることが大切である。
□建物を長持ちさせるためには、耐用年数以外にも防水性や防カビ性などの性能も塗料選びのポイントとして、考える必要がある。
□外壁の周辺を刈り込んだり、モノを置いたりしないことで、風通しを良くする。
カビや藻は洗い流す、など
細かなケアを自分で実施することで、外壁塗装の劣化を遅らせることができる。
最後に、建物を長持ちさせるために耐用年数の高い塗料や、防水性・防カビ性など、優れた機能を持つ塗料を使用することは大切ですが、塗料はあくまで「半」製品である、ということを覚えておいてください。
すなわち、どれだけ優れた性能を持つ塗料も実際に施工するリフォーム店や塗装店の腕次第で、本来塗料が持つ機能や耐久性を発揮できないこともあるのです。
その点で言うと、外壁塗装の塗り替えを検討する際は塗料の機能を最大限に引き出してくれる、信頼できるリフォーム店や塗装店に塗装工事を依頼することが最も大切である、と言えるでしょう。
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