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「新築から5年ほどしか経っていないのに、外壁にひび割れを見つけてしまった・・・」というお話をよく耳にします。
「外壁のひび割れ」と聞いて、どれくらいの大きさのひび割れを思い浮かべましたか?遠くからでもわかるくらいバキッと割れたひび割れでしょうか。それとも、近寄って見てわかる程度のひび割れでしょうか。
ひとくちにひび割れといっても、程度はさまざま。ちなみに、先述の「新築から5年ほどしか経っていないのに・・・」のお住まいのひび割れは、実際に見てみたところ、髪の毛ほどの幅のとても細いひび割れでした。
ひとによって程度の受けとめ方がさまざまな外壁のひび割れ。素人目には、状態も原因もどう判断していいかわからないから、不安にもなります。
でも大丈夫!ここから先に書いていることは、外壁のひび割れの原因から対処方法に至るまでを、わかりやすく解説したことばかりです。
このページを読み終わる頃には、ひび割れにどう対処すべきか、きっと判断できるようになっていることでしょう
新築の外壁にひび割れが!ひび割れの種類と原因
外壁のひび割れは、大きく2種類に分かれます。
ヘアークラック
幅0.3mm以下の髪の毛のように細いひび割れです。
【原因】
経年による塗膜の劣化のほか、塗膜の乾燥時間が不適切だった場合や、弾性素地や塗膜の上に硬質塗膜を塗装した場合など、施工に起因するものがあります。
乾燥クラック
外壁材の乾燥過程で発生する幅の狭いひび割れです。
【原因】
モルタルなどの湿式工法による外壁材は、その乾燥過程で水分の蒸発などにより収縮が起こり、それが原因となってひび割れが発生します。
モルタルとは、セメント・骨材(砂)・水を練り混ぜてつくる外壁材料のことで、ペースト状で施工性が良く、仕上材や目地材として多く用いられています。完全に乾燥・硬化させたあと、上から塗装をして仕上げますが、その乾燥過程で水分の蒸発などにより収縮が起こり、それが原因となってひび割れが発生しやすいという特性があります。
モルタルはその特性上、施工の段階でのちのひび割れの原因が発生しやすく、結果として、新築から数年でひび割れが見つかりやすいのです。
構造クラック
建物の構造的な欠陥や、建物の不同沈下などから発生するひび割れです。
【原因】
建物の構造的な欠陥、凍結と融解の繰り返し、建物の不同沈下など、構造的な欠陥から建物が大きく揺れたり、歪んだ力が外壁材に働き、外壁材にひび割れを起こします。
縁切りクラック
モルタルなどの新旧の塗り次ぎ面に発生するひび割れです。
【原因】
モルタルなど湿式工法の外壁材は一度に一面を仕上げますが、途中で作業を中止したり、部分的にやり直したりすると、新旧の塗り次ぎ面にひび割れを起こします。
「まだ大丈夫!」なひび割れと「補修しないと!」なひび割れ
さて、外壁のひび割れの種類と原因がわかったところで、次は「ひび割れができると何がマズイの?」という話になります。
これは、外壁のひび割れから少しずつ雨水などが入り、最終的に構造体が腐ってしまった家の写真です。
雨漏りというと、一般的に屋根からポタポタ水滴が落ちるものを連想しますが、実は、外壁のひび割れからの雨漏りは、戸建て住宅の不具合の中で最も多いと言われているのです。
ここまで腐食が進んでしまうと、かなり大掛かりな修繕が必要になり、経済的な負担も大きくなります。こんな事態を避けるためにも、ひび割れを見つけたら早めの対処が重要なのですが、この「早めの対処」というのが、いつ・どのタイミングなのか、なかなか判断が難しいことのひとつでもあります。
このようにある程度の目安をもとに判断することはできます。しかし、やはりいちばん良いのは、ひび割れを見つけたらすぐに施工した工務店や業者に相談をして対応してもらうことです。あってはならないことですが、業者の施工不良が原因の場合もあるので、きちんと話し合いましょう。
プロタイムズ蓮田店でも無料で建物診断を実施しています。建物診断については下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
自分でできるひび割れ応急処置
外壁のひび割れは、放置したままにすると構造体を腐らせてしまう危険があり、早めに補修をすることが大切とお話ししました。
さて、その補修ですが、外壁のひび割れは原因や状態によって補修方法が異なるため、工務店や業者に建物全体を調査・診断してもらった上で、適切な処置を依頼することをお勧めします。
しかし、やむを得ず自分で応急処置をしなければならないこともあるでしょう。そこで、自分でできる応急処置の方法をご紹介します。
自分でできる補修範囲と方法
まず、ひび割れの幅が1mmを超えるものについては、外壁の下地や構造部分にも影響が出ている可能性があることから、自分での補修はお勧めできません。
ひび割れの幅が0.3mm以下のヘアークラックについては、急いで補修をする必要はないにしても、ひび割れの進行を防ぐために応急処置をしておくと安心です。
ヘアークラックの補修方法に、微細なセメントの粉をひび割れに塗布し、適量な水分を加えてセメントの粉を定着させる方法(チョーク式・スプレー式)があります。
◎チョーク式
セメントチョークを手で塗りこんでいく方法。
無駄なくセメントを使える一方で、適度な圧力を加えないと外壁に定着しづらいため、作業時間が長く、体力が必要。
◎スプレー式
セメントの粉を噴射して定着させる方法。
簡単で作業時間も短く済むが、セメントの粉が周囲に飛び散り、無駄になりやすい。
また、手に入りやすい補修材を使った方法として、「シーリング材」を使った補修方法があります。
シーリング材はホームセンターなどで市販されていますが、種類がいろいろあるので、ここで種類ごとの特長と選び方を確認しておきましょう。
ホームセンターで買える補修材と選び方
「シーリング材」は、目地や隙間などに充填する合成樹脂、または合成ゴム製のペースト状の材料で、主に外装材のジョイント部やサッシ回りなどに使われています。
シーリング材には、使われている樹脂の種類などによって特長があります。下の表は、シーリング材の種類と特徴をまとめたものです。
シーリング材は、各成分系統によって最適な施工箇所があり、それに応じて使い分けることで、施工中の失敗を減らし、耐久性や美観性をもたせることができます。
下の表に、各成分系統ごとの施工箇所をまとめました。
応急処置としては、ウレタン系やシリコン系を選ぶといいでしょう。ただし、シリコン系は、あとから塗装できるように変性シリコン系を選ぶことをお勧めします。色もいろいろあるので、外壁に合わせて選んでみてください。
レッツDIY!補修の手順 ~シーリング材編~
いよいよ補修の手順を見ていきましょう。
事前の注意点として、シーリング材の施工は晴天時に行ってください。雨で接着面が濡れていてはシーリング材が接着しません。また、前日に雨か雪が降っていた場合は接着面が十分に乾燥しているか確認をしましょう。
あとは、養生テープを外して、完全にシーリング材が乾くのを待ちましょう。補修跡が気になる場合などは、このあと塗装をして仕上げます。また、将来、業者に補修を依頼するときのことを考えて、使用したシーリング材の種類、メーカー、商品名をメモしておくとよいでしょう。
業者に依頼するときの注意点
自分でできる簡単な補修方法まで紹介しましたが、やはりいちばん良いのは、専門の業者にきちんとひび割れの状態を診てもらった上で、適切な処置をしてもらうことです。
こんなひび割れは業者に依頼を!
ひび割れの幅が1mmを超えるものについては、外壁の下地や構造部分にも影響が出ている可能性があります。このようなひび割れは、自分での応急処置は避け、すぐにでも業者に相談をしましょう。
信頼できる業者の選び方
肝心の業者選びですが、いちばん早いのは新築時に施工してくれた工務店に相談することでしょう。契約条件や保証で補修をお願いできる可能性があるからです。ただ、先述のように、契約書や保証書を受け取っていなかったり、相談しても誠意ある対応をしれもらえない場合など、さまざまな理由で、建ててくれた業者とは別の業者を選んでお願いすることもあると思います。
この業者選びが曲者で、住宅建設・リフォーム業界には悪徳業者がいまだにはびこっています。そんな中から、信頼して補修を任せられる業者を選ばなければならないから大変です。
そこで、目安にはなりますが、信頼できる業者選びのポイントをまとめました。次のポイントをクリアしていれば、まず悪徳業者ということはないでしょう。
知って得する見積書の見方
いくつかの業者の中から依頼する業者を決めるときに、大きな決め手となるのがなんといっても「見積金額」です。
しかし、見積金額だけで業者を決めてしまうと、あとで大きなしっぺ返しを食らうことになりかねません。安さで選ぶことも選び方のひとつですが、“なぜ安いのか?”という視点は必要です。安さの理由が、企業努力によるものであるならばいいのですが、もしかすると工事品質を落とした結果かもしれないのです。
安さだけに目を奪われて業者を選んでしまうと、あとから追加工事や追加請求が発生したり、不良施工が見つかったりするトラブルにつながる可能性もあります。
そんな失敗をしないために、信頼できる業者を見極める「見積書の見方」をご紹介しましょう。知っていると、いい業者とそうでない業者を見分けることができるようになります。
◎見積書の例
業者に連絡する前に確認しておきたいこと
さて、業者に連絡をする前に、ぜひ準備・確認をしておきたいことがあります。
繰り返しになりますが、住宅建設・リフォーム業界には悪徳業者がいまだにはびこっています。そんな業者から見れば家主は素人。知識がないのをいいことに、のらりくらりと責任をかわされることだってあるのです。
知識武装とまではいかなくても、きちんと準備をしておくことで、業者と対等に話し合うことができます。
まずは保証書・契約書の内容を確認!
新築・リフォームにかかわらず、施工した業者から工事請負契約書、または保証書は受け取りましたか?手元にあれば、まず契約条件(保証書であれば保証内容)がどうなっているか、確認をしましょう。条件によっては、業者に瑕疵担保責任を請求することができます。
きちんとした業者であれば、必ず工事請負契約書(保証がつく工事であれば保証書)を施主に渡しているはずです。もし、契約書も保証書も受け取っていなければ、その業者には気をつけたほうがいいでしょう。業者に連絡する前に、下記の窓口に相談してみることをおすすめします。
業者と話す前に知っておくと役立つ法律
さて、先ほど「条件によっては、業者に瑕疵担保責任を請求することができる」と言いましたが、ここで法律についても知っておきましょう。法律というと難しい印象がありますが、知っておくことで業者と対等に話し合い、自分と住まいを守ることにつながります。
まず、瑕疵担保責任には2通りあります。
「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(以下:品確法)は、平成12年4月1日から施工された法律で、すべての新築住宅に対する10年の瑕疵担保期間が義務化されています。
くわしく説明すると、新築住宅の請負人または売主(つまり業者)は、住宅取得者に対して、柱や梁基礎など構造耐力上主要な部分や屋根等からの雨水の浸入を防止する部分の瑕疵(欠陥)について、引渡しの日から10年間はその瑕疵を補修するなどの義務を負うのです。
たとえ、業者が契約書などに、これに反する特約を設けても、住宅取得者に不利な特約は無効になります。ただし、自然劣化などによって生じた不具合については保証されていません。また、この法律の瑕疵担保責任の規定の適用を受けられるのは、平成12年4月1日以降に締結された新築物件の契約です。
品確法の適用を受けない増改築やリフォーム工事に関する瑕疵責任は、民法第638条により請負人に請求することになります。しかし、民法第638条は人気規定のため、住宅建築請負契約の実務では、請負人(業者)が瑕疵担保責任を負う期間を短く設定するのが通例になっているようです。
このように、外壁のひび割れが瑕疵によるものであれば、業者に補修工事や損害賠償を請求することが法律で認められています。あとは、業者が瑕疵をどう判断し認めるか、というところになりますが、きちんとした業者であれば誠意ある対応をしてくれるはずです。万が一、誠意ある対応をしてもらえない場合は、泣き寝入りせずに「住まいるダイヤル」などの相談機関を活用しましょう。
いずれにしても、外壁のひび割れを放置したままにすると、少しずつ雨水などが建物内部に浸入し、構造体を腐らせてしまう危険があります。早めに補修をして、大切な住まいを守りましょう。
プロタイムズ蓮田店でも無料で建物診断を実施しています。
まとめ
さて、外壁のひび割れの原因から対処方法に至るまで、どう対処すべきかを見てきました。このページを読み終えた今、ひび割れに対する不安が少しでも解消されたのではないでしょうか。
- 外壁のひび割れを放置しておくと、そこから雨水などが浸入し、建物の構造体の腐食などにつながることがあるので、早めに対処することが重要。
- ひび割れの幅が0.3mm以下のヘアークラックであれば、市販の補修剤でも応急処置が可能。ひび割れの幅が1mmを超えるものについては業者に補修を相談するのが望ましい。
- 業者を選ぶ際は、専門資格を持ったスタッフによる診断するか、また、保証やアフターフォローがあるかどうかを確認する。
- 外壁のひび割れを見つけたら、まずは契約書や保証書を確認すること。品確法や民法第638条における瑕疵担保責任を業者に追及できるかどうかも確認するとよい。
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